粉瘤
粉瘤
粉瘤は「ふんりゅう」と読みます。皮膚の下に袋ができ、その袋の中に皮膚の老廃物がたまることでしこりになります。良性腫瘍の一つに分類され、表皮嚢腫と呼ばれることもあります。体中のあらゆる部位にできることがあり、大きさも数ミリ程度の小さなものから10センチを超えるような大きなものまで様々です。典型的な見た目は、皮膚と同じ色でドーム状に隆起し、中央に黒い開口部が確認できます。
しかしそれ以外にも隆起せずに皮下だけにしこりを作るものや、内部の色が透けて見えて黒くなっているもの、開口部がはっきりと確認できない物など様々です。粉瘤は皮膚と癒着していることから、皮膚をつまみ上げたり横にずらしたりすると粉瘤も一緒に動きます。皮膚以外のもっと深い組織などとの癒着が疑われるときは粉瘤以外の腫瘍を考えます。粉瘤を顕微鏡でみると、袋(嚢腫壁)は正常の表皮と同じ構造を持ち、その内部は角質で充満しています。
毛包や汗腺(皮膚付属器)はないので、粉瘤の壁から毛が生えたり、汗をかいたりすることはありません。この内容物が開口部より外に漏れることで特有の臭いを発することがあります。また放置していると、徐々に大きくなり炎症を起こして発赤や強い痛みを伴うことがあります(炎症性粉瘤)。炎症は異物反応や感染で起こると言われていますが、一度炎症が起こると抗生剤で落ち着かせることが難しいケースも多く、外科的治療をおすすめします。
粉瘤の原因は、はっきりとはわかっていません。何らかの原因で表皮または毛包にある上皮成分が真皮の中に入り込み、それが増殖して嚢腫を作ると考えられています。また手掌や足底の粉瘤では外傷による埋入や、人乳頭腫ウィルスのHPV-57,60感染が関与している場合があると考えられています。
はっきりとした原因がわからない以上、確実な予防法も確立できていないのが現状です。粉瘤が炎症を起こす原因は大きく分けて異物反応と感染の2種類があると考えられています。このうち多いのが異物反応で、これは粉瘤の内容物が皮膚の中に漏れ出すことで起きると考えられています。
異物反応は異物から体を守る免疫反応なので、抗生剤は効きません。細菌感染の多くは、炎症により破裂した粉瘤の内容物が外に漏れ出すために起こることが多いと考えられています。炎症が起こると発赤、腫脹、強い痛みを伴うので早期の手術をおすすめします。
粉瘤は原則無痛で自覚症状がないので、初期の小さいときは粉瘤ができていること自体に気が付かないことがあります。徐々に大きくなることが多いので、ある日突然粉瘤を発見したり、内容物が漏れ出すことによる独特の臭いで気が付く場合もあります。
普段は特に症状もなくただそこにあるだけの粉瘤ですが、炎症を起こすと発赤、熱感、腫脹、疼痛といった症状が出現します。この状態は炎症性粉瘤と呼ばれ、ひどくなると皮膚が破れて破裂してしまうことがあります。炎症性粉瘤の状態になると、薬を飲んで経過観察か切開して膿を出す処置が行われることが多いですが、当院ではほとんどのケースで炎症した状態でも粉瘤を切除することが可能です。炎症が起きてからでも切除は可能ですが、炎症する前に切除する方が痛みも少なく、傷も小さく済み、より確実に切除できるのでお勧めです。
上記の症状やその他気になる症状がある場合には日暮里たかやま形成外科にご相談ください。
粉瘤の切除は保険適応です。保険を使う場合は原則月に一か所の切除となります。
診察後にご希望があれば当日手術が可能です。(症状や大きさによっては後日もしくは総合病院紹介となる場合がありますが、ほとんどのケースでは当日手術が可能です)
粉瘤は気になっているけど仕事や育児、学業などが忙しくてそのままにしている、総合病院で診察を受けたが数ヶ月待ちと言われたなどで治療をあきらめている方は日暮里たかやま形成外科にご相談ください。
従来の紡錘形切除では粉瘤を周りの皮膚含めて切除することになるので、傷の長さが粉瘤の直径の3倍くらいになります。くりぬき法では開口部周囲の皮膚を丸くくりぬいてその穴から粉瘤を取り出すので傷が小さくなります。紡錘形切除にもメリットがあるので、診察の際に最も適した方法をご提案させていただきます。傷の長さが心配な方は日暮里たかやま形成外科にご相談ください。
当院では炎症が起きた状態でも手術が可能です。炎症の状態によっては切開になることもありますが、大半のケースでは切除可能です。炎症性粉瘤の臨床像は様々なので、どのような方法が最適で、どのようなリスクがあるかなども人それぞれです。最適な方法を診察の時にご案内します。痛みがありその日のうちに治療を受けたいときは日暮里たかやま形成外科にご相談ください。
診察・カウンセリング
まず医師が診察を行い、粉瘤の状態や大きさ、炎症の有無を確認します。その上で手術方法やリスク、費用について丁寧にご説明し、ご不安やご質問にお答えします。
局所麻酔
手術は局所麻酔で行います。注射は細い針を使い、さらに振動を与えて痛みをごまかしながら打ちます。麻酔薬を注入するときにつねられるような痛みがありますが、手術中の痛みはほとんどありません。
切開・摘出
粉瘤の開口部を中心にくりぬきます。くりぬいた穴から粉瘤の被膜をはがして粉瘤を摘出します。炎症や癒着がある場合は傷を延長する可能性があります。
縫合
摘出後はできるだけきれいになるように丁寧に縫合を行います。
処置後の説明・帰宅
手術後は止血を確認し、ガーゼ保護を行った上で帰宅できます。手術自体は10〜30分程度で終了します。手術後の注意点をお伝えし再診予約を取った後に帰宅となります。
粉瘤は命にかかわる病気ではありませんが、放置するとしこりが大きくなり炎症を起こして強い痛みや膿を伴うことがあります。自然に治ることはないため、根治には手術での摘出が必要です。当院では形成外科専門医の院長が、患者様の負担を最小限に抑えつつ、安全で確実な治療を心がけています。
「しこりが気になる」「繰り返しできて困っている」などの症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
自然に治ることはありません。炎症が起きて中身が溶け、破裂して外に出ることで小さくなることはありますが、時間がたつとまた元の状態に戻っていくことがほとんどです。
放置することで増大と炎症のリスクが高まるためおすすめはしません。少しでも気になるようであれば切除をおすすめします。また長期に放置することで癌化(有棘細胞がん)したという報告がありますが、とても低い確率なのであまり心配する必要はありません。
放置はせずに医療機関を受診することをお勧めします。考えられる治療法としては抗生剤の内服(細菌感染が疑われる場合)、切開排膿、切除があります。受診した医療機関でどれが最も適した方法かをよく相談して決めることが重要です。
残念ながら再発の可能性はゼロにはできません。特に炎症が起きている状態での切除などでは若干ですが再発率が上がる印象があります。
手術当日は傷を濡らすことはできません。運動は3日ほど控えていただき、その後は無理のない範囲から開始してください。特に予定がないのであれば抜糸までは行わないことをお勧めします。飲酒も運動と同じです。特に大量の飲酒は控えていただいた方が安全です。入浴は翌日よりシャワーで創部を濡らすことが可能になります。湯船につかる、プールや海に入る、サウナなどは抜糸まで控えてください。
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