脂肪腫
脂肪腫
脂肪腫は、皮下に発生する良性の腫瘍で、軟部腫瘍というものに分類されます。軟部腫瘍は脂肪組織、筋組織、線維系組織、末梢神経、血管などから発生する腫瘍です。脂肪腫はこの良性軟部腫瘍の中で最も多くみられるものです。皮膚のすぐ下にできる表在性脂肪腫と、筋膜の下、筋肉の中や筋間にできる深在性脂肪腫があります。単発のことが多いですが、多発することもあります。
圧痛などがあれば血管脂肪腫というタイプの脂肪腫を疑うこともあります。比較的女性によくできることがわかっていて、男女比は男:女=0.76:1となっています。(1) また比較的40~50代に多いと言われています。脂肪細胞がある場所であればどこにでもできますが、特に首、肩、背中によくできる傾向があります。
基本的に痛みやしびれなどの自覚症状はなく、見た目のふくらみや、実際に触って気が付くことが多いです。背中は自分では見ることができず、手も届きにくいので自分では脂肪腫ができていることに気が付かず、マッサージなどで指摘されることも良くあります。やや弾力のあるやわらかい腫瘍で、良く動く場合もあれば、周りと癒着して動かない場合もあります。大きさは5センチ未満のものが多いですが、10センチを超えるものもあり様々です。
組織を顕微鏡で見ると成熟した脂肪細胞の増殖が確認できます。診断は問診、視診、触診、超音波、MRI、などで行います。最終的な確定診断は切除後の病理組織検査が必要となります。5センチを超えるものや急速に増大している物に関しては悪性腫瘍を除外する目的で術前にMRIを行うことをお勧めします。自然に消失することはなく、徐々に大きくなることが多いので、皮膚の下に気になるしこりを見つけたら医療機関の受診をお勧めします。
脂肪腫の明確な原因はまだはっきりとは解明されていません。男性より女性、若い方より中年以降の方に多く見られる傾向があります。
脂肪があるところにはどこにでもできますが、首、背中、肩、上腕などに多く見られます。基本的に痛みやしびれなどはありませんが、中には血管脂肪腫など圧痛を感じる種類の脂肪腫もあります。ゆっくりと増大していきますが、症状に乏しいため大きくなるまで気が付かないことが多いです。
触ると弾力のあるやわらかい腫瘍で、良く動く場合(可動性良好)と動きにくい場合(可動性不良)があります。急速に大きくなり、痛みがあるものや5センチ以上の大きさのものはMRIなどの画像検査をお勧めします。
脂肪腫の切除は保険適応です。保険を使う場合は原則月に一か所の切除となります。
当院の脂肪腫手術は日帰りです。診察後にご希望があれば当日手術も可能です。(症状や大きさによってはMRI検査が必要になるため後日手術となります。また総合病院紹介となることもあります)
皮膚の下のできものは気になっているけど仕事や育児、学業などが忙しくてそのままにしている、総合病院で診察を受けたが手術は2ヶ月後と言われたなどで治療をあきらめている方は日暮里たかやま形成外科にご相談ください。
形成外科専門医が手術を担当するので、できる限り整容面に配慮した傷の縫合を行います。
初診時
問診、視診、触診を行い脂肪腫の位置、深さ、大きさなどを確認します。必要に応じて超音波検査を追加します。5センチを超えるものや深い場所にあるもの、通常の脂肪腫と比べて硬く痛みがあるなど非典型的な所見がある場合にはMRI検査を行うことがあります。(近隣の医療機関に依頼します)
初診後の流れはMRI検査が有りか無しかで変わります。
MRI検査あり⇒後日MRI検査を近隣の医療機関(ご紹介します)で行っていただきます。当院の再診時に結果説明を行い、手術が可能であれば日程を調整します。
MRI検査なし⇒大きさや症状、ご希望に応じて当日または後日の手術となります。手術の方針が決まったらリスクや費用について説明します。
局所麻酔
手術部位に局所麻酔を行います。細い針を使い振動を与えてごまかしながら麻酔をします。注射の際に軽い痛みがありますが、処置中の痛みはほとんどありません。
切開・摘出
皮膚を切開し、脂肪腫を周囲の組織から丁寧に剥がし取り除きます。腫瘍を取り除いた後は洗浄し、しっかりと止血をします。切除した脂肪腫は病理組織検査に提出します。検査の結果がでるのは後日になります。
縫合
止血を確認した後にドレーンというチューブを留置することがあります。脂肪腫を切除した場所は一時的に空洞となります。そこに血液や水がたまると感染などの原因となるので、外に液体を排出するためのチューブです。ドレーンは翌日に抜去します。
術後の説明・帰宅
縫合が終わったあとはガーゼとテープでしっかりと圧迫して傷を保護します。術後の注意点をお伝えし、次回の予約を取った後に帰宅となります。
手術時間は腫瘍の大きさによって異なりますが、小さいもので10〜20分程度、大きいものでも30〜60分ほどです。
脂肪腫は良性腫瘍であり、命に関わる病気ではありませんが、大きくなると見た目や生活に影響を及ぼすことがあります。自然に消えることはなく、治療には摘出手術が必要です。
当院では局所麻酔による日帰り手術を行い、患者様の負担をできる限り軽減しつつ、安全で丁寧な治療を心がけています。傷あとにも配慮し、整容的にきれいな仕上がりを目指しています。「しこりが気になる」「大きくなってきて心配」「見た目が気になる」と感じている方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
脂肪腫は一度できてしまうと自然になくなることはありません。
大きさでの明確な基準はありませんが、皮下のしこりは5センチを超えると悪性の割合が増えてきます。MRIで安全に取れることを確認した後に手術をお勧めします。ほかには急速に大きくなってきたもの、痛みがあるものは手術をお勧めします。
治療は皮膚を切開して摘出する方法が一般的です。飲み薬や塗り薬では治すことはできません。ほかには内視鏡を用いた方法(2)、脂肪吸引(3)、超音波破砕吸引装置補助による切除(4)などの報告がありますが確立された方法とはなっていません。しっかりと切除して病理組織検査を行うことが重要ですので、当院では一般的な切除法をお勧めします。
局所麻酔時に軽い痛みがあります。できるだけ痛みを軽減するために細い針を使い振動を与えてごまかしながら注射をします。手術中は原則無痛ですが、脂肪腫が深い場合などは追加の麻酔が必要となることがあります。
しっかりと切除しても残念ながらまれに再発することがあります。
シャワーは翌日の夜から可能です。浴槽につかるのは抜糸後になります。
術後3日は控えてください。その後は様子を見ながら徐々に軽いものから開始していくことが可能です。
保険適応となります。
(1)軟部腫瘍診療ガイドライン2020改訂第3番 日本整形外科学会
(2)Sadick H,Huber M,Perkins SW,et al.Endoscopic forehead approach for minimally invasive benign tumor excisions.JAMA Facial Plast Surg.16:352-8,2014
(3)Choi CW,Kim BJ,Moon SE,et al.Treatment of lipomas assisted with tumescent liposuction.J Eur Acad Dermatol Venereol.21:243-6,2007
(4)永野昭仁,大野貴敏,大島康司,他.脂肪腫に対する超音波破砕吸引装置(CUSA)を用いた消費説手術の治療成績,中部整災誌.55:503-504,2012
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